商社時代に抹茶で大失敗した私が語る「抹茶とは何か」の真実
今から8年前、商社勤務時代の私が京都の老舗茶店で初めて飲んだ抹茶は、正直言って「苦くて飲めない」ものでした。当時の私は抹茶とは何かを全く理解せず、コーヒーを飲むような感覚で一気に口に含んだのです。その結果、強烈な苦味だけが口に残り、「なぜこんなものを日本人は珍重するのか」と疑問に思ったほどでした。
しかし、この失敗こそが私の抹茶人生の出発点となりました。現在、茶道インストラクターとして活動する中で、当時の私と同じような誤解を持つ方を数多く見てきました。実は、抹茶への理解不足による失敗は、忙しい現代人にとって非常に共通した体験なのです。
抹茶とは何か:5年間の研究で分かった本質
抹茶とは、単純に「緑茶を粉にしたもの」ではありません。製造工程から見ると、抹茶は「碾茶(てんちゃ)」という特殊な茶葉を石臼で挽いて粉状にしたものです。この碾茶は、摘採前の3〜4週間、茶園を覆いで覆って直射日光を遮断する「覆下栽培」という独特の方法で育てられます。
この栽培方法により、茶葉中のテアニン(うま味成分)が増加し、タンニン(渋味成分)が減少します。私が最初に感じた「苦味だけの抹茶」は、実は品質の問題か、もしくは私の飲み方に問題があったのです。
現代人が知るべき抹茶の3つの特徴
5年間の研究と実践を通じて、現代の忙しい社会人が理解すべき抹茶の本質を3つに整理しました:
1. 栄養価の高さ
抹茶は茶葉をそのまま摂取するため、水溶性・脂溶性両方の栄養素を効率的に取り込めます。特にカテキンやビタミンE、食物繊維は煎茶の数倍含まれています。
2. 集中力向上効果
テアニンとカフェインの絶妙なバランスにより、コーヒーのような急激な覚醒ではなく、持続的な集中状態を作り出します。商社時代の私が週末に抹茶を飲み始めてから、平日の仕事効率が明らかに向上したのはこの効果によるものでした。
3. 文化的価値
抹茶は400年以上続く茶道文化の中核であり、「一期一会」の精神性を体現する媒体でもあります。現代のストレス社会において、この精神性は特に重要な意味を持ちます。
当時の失敗から学んだ最も重要な教訓は、抹茶とは単なる飲み物ではなく、日本が世界に誇る総合的な文化体験だということです。
抹茶初心者が陥りがちな3つの勘違いと私の苦い体験談
勘違い1:抹茶とは「苦いもの」という先入観
私が商社時代に初めて抹茶を飲んだとき、正直に言うと「なんでこんなに苦いものを飲むのだろう」と思いました。当時の私は、コーヒーショップで販売されている抹茶ラテしか知らず、本格的な抹茶の味わいを全く理解していませんでした。
実際に茶道を学び始めてから分かったのは、抹茶とは本来、苦味だけでなく旨味、甘味、渋味が絶妙に調和した複雑な味わいを持つものだということです。私が最初に感じた強い苦味は、実は抹茶の温度が高すぎたことが原因でした。80度以上の熱湯で点てると、苦味成分のカテキンが過度に抽出され、本来の味わいが台無しになってしまうのです。
勘違い2:「高価な抹茶ほど良い」という価格至上主義
転職前の私は、「値段が高い抹茶を買えば間違いない」と考えていました。実際に1缶1万円の抹茶を購入したこともありましたが、当時の私の技術では全くその価値を活かせませんでした。
茶農家への取材を重ねて学んだのは、抹茶の品質は価格だけでは判断できないということです。初心者の方には、まず500円〜1,000円程度の稽古用抹茶で基本的な点て方を習得することをお勧めします。正しい技術が身についてから、徐々に上級品に挑戦する方が、抹茶本来の魅力を理解できるようになります。
勘違い3:「茶道の作法を知らないと抹茶は楽しめない」という敷居の高さ
私が最も大きな勘違いをしていたのがこの点でした。「抹茶を飲むには茶道の複雑な作法を全て覚える必要がある」と思い込んでいたため、なかなか始められずにいました。
しかし、実際に茶道教室で指導するようになって気づいたのは、抹茶とは日常的に楽しめる飲み物だということです。確かに正式な茶道には美しい作法がありますが、自宅で気軽に抹茶を楽しむ分には、基本的な点て方さえ覚えれば十分です。
私の生徒さんの中には、朝の10分間で抹茶を点てて出社前のリラックスタイムにしている方もいらっしゃいます。まずは「美味しい一杯を点てる」ことから始めて、徐々に作法や歴史を学んでいけば良いのです。
この3つの勘違いを解消するだけで、抹茶への取り組み方が大きく変わります。次のセクションでは、これらの経験を踏まえて、抹茶の本当の魅力について詳しく解説していきます。
抹茶の基本知識:種類・等級・産地の違いを5年間で学んだ実体験から解説
商社時代の5年間で茶農家を巡り歩いた経験から、抹茶の基本知識について実体験を交えて解説します。最初は「抹茶とは単なる緑茶の粉末」程度の認識でしたが、実際に学んでみると奥深い世界が広がっていました。
抹茶の種類と等級:実際に飲み比べて分かった違い
抹茶は大きく「薄茶用」と「濃茶用」に分かれます。私が初めて京都の茶店で飲んだのは薄茶でしたが、その後濃茶を体験した際の衝撃は今でも忘れられません。
薄茶用抹茶の特徴:
– さらっとした口当たり
– 軽やかな苦味と甘味
– 日常的に楽しめる価格帯(100g 3,000円〜8,000円程度)
濃茶用抹茶の特徴:
– 濃厚でとろみのある舌触り
– 深い旨味と上品な甘味
– 高級品(100g 10,000円〜30,000円以上)
等級については、実際に静岡の茶農家で教わった分類が分かりやすかったです。上級品ほど茶葉の若芽部分のみを使用し、石臼で丁寧に挽かれています。
主要産地による味の違い:5年間の飲み比べ記録
全国の茶農家を訪れた中で、特に印象深かった産地の特徴をまとめました。
産地 | 味の特徴 | 個人的な印象 |
---|---|---|
京都(宇治) | 上品な甘味、まろやかな口当たり | 茶道に最適、格式高い味わい |
愛知(西尾) | 深い旨味、コクがある | 日常使いに適している |
静岡 | 爽やかな香り、すっきりした味 | 初心者にも飲みやすい |
忙しい社会人が効率的に抹茶を学ぶコツ
商社勤務時代の経験から、限られた時間で抹茶の知識を身につける方法をお伝えします。
まず、少量パックでの飲み比べから始めることをお勧めします。私は週末に3種類の抹茶を同時に点てて、味の違いをノートに記録していました。この方法で、約3ヶ月で基本的な味の違いを理解できました。
また、産地別の特徴を覚える際は、その土地の気候や土壌の特性と関連付けると記憶に残りやすいです。例えば、京都宇治の朝霧が抹茶の上品な味わいを生み出すといった具合です。
抹茶とは何かを深く理解するには、実際に飲むことが一番の近道です。理論だけでなく、自分の舌で確かめた経験が、後の茶道学習や抹茶スイーツ作りにも活かされています。
正しい抹茶の味わい方:苦味しか感じなかった私が変われた3つのポイント
商社時代の私が抹茶を初めて飲んだとき、正直に言うと「苦いだけで何がいいんだろう」と思いました。しかし、5年間の学びを通じて、抹茶の本当の味わい方を理解できるようになったのです。抹茶とは単なる苦い飲み物ではなく、正しい飲み方を知ることで、その奥深い味わいを楽しめるものなのです。
ポイント1:温度管理で劇的に変わる味わい
最初の失敗は、熱湯で抹茶を点てていたことでした。沸騰したお湯(100℃)で作ると、抹茶の苦味成分であるタンニンが強く出てしまい、本来の旨味が隠れてしまいます。
正しい温度は70~80℃です。私は温度計を使って正確に測るようになってから、抹茶の印象が180度変わりました。具体的には、沸騰したお湯を茶碗に注ぎ、約3分待ってから抹茶を加える方法を実践しています。
温度 | 味の特徴 | 私の体験 |
---|---|---|
90℃以上 | 苦味が強く出る | 商社時代の失敗パターン |
70~80℃ | 旨味と甘味のバランス良好 | 現在実践している最適温度 |
60℃以下 | 抹茶が溶けにくい | 冷めすぎて泡立ちが悪化 |
ポイント2:抹茶の量と水分量の黄金比率
二つ目の失敗は、適当な量で作っていたことです。抹茶2gに対してお湯60mlという比率を守るようになってから、安定して美味しい抹茶を点てられるようになりました。
私は小さなデジタルスケールを購入し、毎回正確に計量しています。この投資は月3,000円程度でしたが、抹茶の味わいが格段に向上しました。
ポイント3:点て方で生まれる口当たりの違い
最後のポイントは点て方です。最初は力任せに混ぜていましたが、正しくは「M字を描くように手首を使って素早く点てる」ことが重要でした。
具体的には、茶筅(ちゃせん)※を使って約15秒間、1秒間に2回のペースでM字を描きます。この方法で、きめ細かい泡が立ち、口当たりが驚くほど滑らかになります。
※茶筅:抹茶を点てる際に使用する竹製の道具
忙しい現役世代の方でも、この3つのポイントを意識するだけで、短時間で本格的な抹茶の味わいを楽しめるようになります。私自身、平日の朝の10分間でこの方法を実践し、一日の始まりを豊かにしています。
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