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茶道インストラクターが猛暑で編み出した本格抹茶かき氷の開発秘話

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暑い夏に開発した抹茶かき氷レシピの誕生秘話

昨年の7月、連日35度を超える猛暑日が続いた時期のことです。茶道教室でのレッスン後、生徒さんから「先生、こんなに暑いと温かい抹茶を飲む気になれません。何か涼しく抹茶を楽しむ方法はないでしょうか?」という相談を受けました。その瞬間、私の中で「抹茶の魅力を夏でも存分に味わえる方法を作ろう」という想いが湧き上がったのです。

試行錯誤の連続だった最初の1週間

最初は単純に、市販のかき氷に抹茶パウダーをかけるだけの簡単なアプローチから始めました。しかし、これでは抹茶の風味が氷に負けてしまい、本来の深い味わいが全く感じられません。商社時代に培った「問題解決は根本から見直す」という姿勢で、抹茶かき氷の構造を一から考え直すことにしました。

問題は大きく3つありました。抹茶の苦味と甘味のバランス氷との一体感の欠如、そして見た目の美しさの不足です。特に、粉末をそのまま振りかけただけでは、食べ進めるうちに抹茶の味が薄くなってしまう致命的な欠点がありました。

転機となった抹茶シロップの発見

5日目の夜、ふと思い立って抹茶を液体状にしてみることにしました。茶道で学んだ「茶筅(ちゃせん)※」を使った泡立て技術を応用し、抹茶パウダーを少量の温水で練り、そこに砂糖を加えてシロップ状にしたのです。これが大正解でした。

※茶筅:抹茶を点てる際に使用する竹製の道具

翌日、自宅で作った氷に抹茶シロップをかけてみると、驚くほど均一に味が行き渡り、最後の一口まで濃厚な抹茶の風味を楽しめました。この瞬間、「これなら生徒さんたちにも自信を持って勧められる」と確信したのです。

その後1週間で、シロップの濃度調整や氷の粗さ、トッピングの組み合わせを細かく調整し、現在の完成形に辿り着きました。完成したレシピは、茶道教室の夏季限定メニューとして大好評を博し、今では多くの生徒さんが自宅でも作って楽しんでいます。

抹茶かき氷作りで失敗を重ねた初心者時代の体験談

実は私も抹茶かき氷作りを始めた当初は、失敗の連続でした。商社勤務時代の暑い夏、週末の抹茶研究の一環として「自宅で本格的な抹茶かき氷を作りたい」と思い立ったのが始まりでした。当時は茶道の基礎知識はあったものの、抹茶を冷たいデザートに応用する技術は全く別物だったのです。

最初の大失敗:抹茶が氷に馴染まない問題

初回の挑戦では、市販のかき氷機で削った氷に、普段茶道で使っている抹茶をそのまま振りかけました。結果は散々で、抹茶の粉が氷の表面に浮いてしまい、一口食べると口の中が粉っぽくなって全く美味しくない状態に。さらに、氷が溶けるにつれて抹茶が底に沈殿し、見た目も美しくありませんでした。

当時の私は「なぜ茶道で美味しく点てられる抹茶が、かき氷では活かせないのか」と悩みました。平日の仕事終わりに調べた結果、抹茶の粒子の細かさと氷の表面張力の関係、そして温度による抹茶の風味変化について理解が不足していたことが判明しました。

シロップ作りでの温度管理の失敗

次に挑戦したのは抹茶シロップ作りでしたが、これも最初は上手くいきませんでした。砂糖と水を沸騰させた熱湯に抹茶を直接入れたところ、抹茶が変色して苦味が強くなってしまったのです。後で茶農家の方に聞いたところ、抹茶は70度以上の高温で急激に風味が変化するため、シロップ作りには温度管理が重要だと教わりました。

3回目の挑戦では、シロップの温度を60度まで下げてから抹茶を加えましたが、今度は抹茶がダマになってしまい、滑らかなシロップになりませんでした。この時点で、限られた週末の時間を有効活用するため、失敗の原因を体系的に分析する必要性を感じました。

トッピングの組み合わせで学んだ和の調和

シロップ作りをマスターした後も、トッピングの組み合わせで失敗を重ねました。洋風のトッピングを多用しすぎて、抹茶本来の繊細な風味が消えてしまったのです。特に印象的だったのは、チョコレートソースとの組み合わせで、抹茶の上品な苦味が完全に負けてしまった経験でした。

この失敗から、抹茶かき氷は「引き算の美学」が重要だと学びました。現在指導している生徒さんにも、まずは抹茶シロップのみでシンプルに味わい、その後段階的にトッピングを加える方法をお勧めしています。

茶道インストラクターが教える抹茶シロップの黄金比率

抹茶かき氷の美味しさを左右する最も重要な要素は、間違いなく抹茶シロップの配合です。私が5年間の茶道インストラクター経験で培った、家庭でも再現可能な黄金比率をお教えします。

失敗から学んだ完璧な抹茶シロップレシピ

初めて抹茶かき氷を作った時、私は大きな失敗をしました。高級な抹茶粉を使ったにも関わらず、苦味が強すぎて家族に「薬みたい」と言われてしまったのです。その後、茶農家の方々との交流や数十回の試作を重ね、ついに理想の配合を見つけました。

翔太式抹茶シロップの黄金比率

材料 分量 ポイント
抹茶粉 大さじ2 茶道用の濃茶(こいちゃ)レベル
上白糖 80g 抹茶の苦味を適度に中和
100ml 沸騰直前の90度がベスト
ひとつまみ 甘味を引き立てる隠し味

この配合により、抹茶本来の深い味わいを保ちながら、かき氷に最適な甘さとコクを実現できます。

プロが実践する混合テクニック

単純に材料を混ぜるだけでは、茶道で重視される「一味同心」(いちみどうしん)※の状態は作れません。私が茶道の点前(てまえ)から応用した手順をご紹介します。

※一味同心:茶道用語で、すべての要素が調和した完璧な状態を指す

1. 抹茶の準備:抹茶粉を茶こしで2回振るい、ダマを完全に除去
2. 温度管理:90度の湯で抹茶を少量ずつ溶かし、茶筅(ちゃせん)の動きを真似て「の」の字を描きながら混合
3. 糖分の投入:抹茶が完全に溶けてから砂糖を加え、中火で3分間加熱
4. 仕上げ:塩を加えて火を止め、氷水で急冷

この方法で作ったシロップは、市販品とは比較にならない濃厚さと香りを持ちます。実際に私の茶道教室の生徒さんたちからは「お店の味を超えた」という評価をいただいています。

保存のコツ:冷蔵庫で1週間保存可能。使用前に軽く振ってから使用すると、分離した成分が再び均一になります。

忙しい現代人でも、この黄金比率さえ覚えれば、わずか10分で本格的な抹茶かき氷のベースが完成します。次回は、このシロップを氷と完璧に馴染ませる技術について詳しく解説いたします。

氷との馴染み方で決まる抹茶かき氷の美味しさの秘密

抹茶かき氷を何度も作り続けてきた私が気づいた最も重要なポイントは、「氷と抹茶シロップの馴染み方」です。これまで100回以上の試作を重ねる中で、同じ材料を使っても仕上がりに大きな差が生まれる理由を探求してきました。

氷の粒度が抹茶の味わいを左右する

氷の削り方によって、抹茶シロップの浸透度が劇的に変わります。私の実験では、氷の粒度を3段階に分けて検証しました:

細かい氷(直径2-3mm):抹茶シロップが瞬時に浸透し、全体が均一な味わいになります。ただし、氷が溶けやすく、30秒以内に食べ始める必要があります。

中粒氷(直径5-7mm):シロップの浸透に10-15秒かかりますが、氷の食感と抹茶の風味のバランスが最も良好です。私が最も推奨するサイズです。

粗い氷(直径1cm以上):シロップが表面にとどまりがちで、一口目は薄味、底の方は濃厚という不均一な味わいになります。

シロップをかける順序とタイミング

氷盛りから抹茶シロップをかけるまでの時間管理が、美味しさの決定要因です。私の失敗経験から導き出した「3段階シロップ法」をご紹介します:

1段階目:氷を盛った直後に、全体量の40%のシロップを氷の中央から外側に向けて円を描くようにかけます。

2段階目:15秒待ってから、残り40%のシロップを氷の外周から中央に向けてかけます。これにより、氷の内部まで均等に浸透します。

3段階目:最後の20%を仕上げとして、色味の調整と香りの演出のために表面にかけます。

温度差を活用した馴染み効果

抹茶シロップの温度調整も重要な要素です。常温(20-25度)のシロップは氷との温度差により、自然な対流が生まれ、氷の隙間に効率的に浸透します。冷蔵庫で冷やしたシロップは浸透が遅く、熱いシロップは氷を急激に溶かしてしまうため、どちらも推奨しません。

この手法を実践することで、市販の抹茶かき氷とは明らかに異なる、深い味わいと美しい色合いの抹茶かき氷が完成します。忙しい日常の中でも、この技術を身につけることで、本格的な和の味わいを手軽に楽しめるようになるでしょう。

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